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2回目となりました『スピぱら』の総括話です。

前回はラブコメとして読んだ場合どうなのか、という話でしたが、別にそこまでラブコメじゃないという結果でした。

今回は「「解説マンガ」として読む『スピぱら』」と「「デラコーマンガ」として読む『スピぱら』」です。


◆「解説マンガ」として読む『スピぱら』
ここでいう解説マンガとは『メビウスジャンパー』や『UFOおねぇさん』のような、毎回異なるあることがらの説明をしつつ、そのことがらをメインに据えた話を展開するマンガです。
小野寺先生の作品で、解説マンガの傾向が出始めたのは『義経ちゃん剣風帖』からかと思います。『団長ちゃん』内でも栃木県に関する解説があったりしますが、メインというほどではないでしょう。
『スピぱら』では心霊現象から始まり、徐々にオカルトに関わる人物や環境が紹介されるようになりました。
942ae5c0.jpg特に「ハリー=フーディーニ」は、朔夜&ルナ、氷室に影響を与えたことが描かれます(読み返すまで、朔夜とルナもフーディーニの話をしていたことを忘れていました)。



…がしかし、第18話で氷室の過去が語られて以降、フーディーニの話は特に登場せず、第19話のスピリチュアルウルトラクイズでクイズ形式でスピリチュアル関連の事象が示された後は、ほぼ解説的な箇所は無くなっていきました(そのためか第4巻の解説コーナーは二つしかない)。
そして第20話からは横地と橘先輩の関係から始まり、最終話まで主題となる玉置、ルナ、朔夜の話へとなっていったのでした。思えばここがターニングポイントだったのかもしれません(そろそろ話を進めてくれと編集者にせっつかれた?)。
なので、そこからは解説マンガと言った展開はまったくしません。

一方現在連載中の『メビウスジャンパー』は、そのコンセプトもあるとは言え、終始一貫して解説マンガとして描かれています。
「小野寺先生の解説マンガ」として完成形と言えるかもしれません。

…解説マンガから見るとあまり書くことがありませんね。
第1~2巻位までは「○○というスポットがあるから行こう」といった展開が多いので、『メビウスジャンパー』のような解説マンガの体をなしています。その点から見ると第3話のお岩さんをめぐる話はよく出来ていた回だと思います。各キャラの個性がよく表れた話でした。
どうも解説マンガとしても語りにくい…。ですので、次へいきます。

◆「デラコーマンガ」として読む『スピぱら』
ここではこれまでの小野寺先生の作品と『スピぱら』を比較して、どういった点が異なっているのか、というところを挙げていきたいと思います。
まず思いつくのが「バトル描写がほぼ無い」という点です。
これまでの小野寺先生の作品は何かってーと拳と拳をぶつけあう話が多かったのですが、『スピぱら』ではほぼありません。第4話で玉置が幽霊屋敷に行った時にバトル展開をしたくらいでしょうか。殴りあうより論争というのが多かったですね(幽霊のいるいないを拳で分からせてもしょうがないしな)。
bbd3783f.jpg
←セリフも含めて小野寺先生らしい。





次に「意外と登場人物が少ない」。あくまで話数に対してと言う話。
単行本数で言えば『団長ちゃん』、『ヤマモト』に次ぐ3番目ですが、その2作品と比べると…ってのは当然として、『義経ちゃん』と比較しても少ないです。※1
『スピぱら』ではあくまで「スピ研」のメンツでまわすことに重きを置いたのだと思います。
その分一人一人のキャラを掘り下げられるはずなのですが…、その点はちょっと物足りないことに。基本ルナの話が多く、次いでカトゥといったところでしょうか。以前も言ったかもしれませんが、個人的にカトゥの話を掘り下げたのは…(この辺は「ウケるマンガと~」の回で触れるつもりです)。

他には「全体的に絵が丸くなっている」というのもあります。昔の作品と比べると『スピぱら』以前から丸くなっている傾向は見られるのですが、『スピぱら』ではそれが顕著に感じられました。なんというか、各キャラをカワイくしようという意思が見られるような…。小野寺先生の自画像を見ても丸くなっているのが分かるかと思います(マンガ家として、人として丸くなったということなんでしょうか(笑))。
そのせいか作品自体の印象も、それまでの作品と比較すると広くウケるようになったのではないかな…と。
少なくとも、『UFOおねぇさん』や『メビウスジャンパー』よりは間口が広い、と思います。
その分昔からのデラコーファンにはウケづらかろうというのは以前触れたとおり。※2

ということで、『スピぱら』は初の小学館作品ということもあるのか、これまでの作品とは変えていこうという意思があったのではないかと思います。ただ、その分雑誌の中で際立つことができなかったかなという気もします。悪くいう感想も見られませんが、良くいう感想も見られなかったかなぁ(某掲示板のGXスレでの印象)。

「じゃあ、なんでそうなっちゃうのさ?」という話を次回「ウケるマンガと『スピぱら』」の回で書いてみます。ここまでの話もいまいち「『スピぱら』バンザイ!」という話ができていませんが、次回はもっと酷評してしまうかもしれません。
小野寺ファンとしては盲目的に持ち上げたいところなんですが…。
あと次回はかなり主観が入ると思います。
ウケるマンガの要素なんて、定義づける人やその時の流行り廃りで変わってしまうものだと思いますので、「ふーん、こいつはそんな風に考えるのか」ぐらいで読んでいただければ、と。

それでは、今回はこの辺で。

※1…話数的には『義経ちゃん』の方が多いですが、1回辺りのページ数が違います(『スピぱら』は一話26P、『義経ちゃん』一話16~18P)。月刊誌と隔週誌ですので。
※2…これまた某掲示板の小野寺先生のスレからの印象。最近の連載作品より『ヤマモト』や『団長ちゃん』が語られることが多い。あと、めがね。

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